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フラッシュボーイズは不良少年?(1)

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日本でもフラッシュボーイズの翻訳版が発売され、米国で巻き上がったHFT批判旋風が起こると思われる。
すでに巷ではHFT批判記事が散見され始めている。

 

そこでフラッシュボーイズの良い点や悪い点をあげていこうと思う。

注:ここではコロケーションが使えるのがズルいとか高性能のサーバーが使っているから勝てるんだとかそういった不毛な話は挙げないことにする。

 

ちなみに軽く解説しておくとHFTを行っている多くがプロップファームと呼ばれる普通の企業(トレーディングを生業としているハイテクノロジー企業ではあるが)であることを認識して欲しい。つまり銀行や大手証券会社だけが持っている既得権益で戦っているわけではないということだ。

たとえばあなたが高頻度取引を行ってみたいと思えば、上記のプロップファーム等と同じようにブローカーに口座を開いて、コロケーションラックを借りて、高性能のサーバーを購入すれば良いだけだ。(もちろんコロケーションラックを借りるための月額コストや高性能のサーバーを買うためのコストは掛かるがそれは上記のプロップファームと同じである)

なので問題はそれらの環境ではないことがわかると思う。

 

ではなぜ批判の対象となるのか?

基本的にHFTのプレイヤーというのは秘密主義である。それは見つければ大きいが模倣もされやすい手法を使っており、かつ彼らが戦う市場のパイというのは意外に小さいからである。

しかし、この秘密主義ゆえ何か悪いことをしているんでは無いかという感情が生まれるのも必然だと思う。

 

長くなったので続きます。

 

 


トレーディングの軍拡競争(Arms race)

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近年、トレーディングにおける執行アルゴリズムはもはや武器と呼べるほどに重要なものとなっている。
その武器の力を最大限に発揮して戦うようなシステムはHigh Frequency Trading(以下:HFT 訳:高頻度取引)と呼ばれるものになる。

 

しかし、実際には自動執行の世界ではHFTよりも大規模な注文執行や幅広い銘柄への分散執行に使われるアルゴリズムの方が圧倒的にシェアは多い。
そのような背景の中、効率的な執行を求めて非常に熾烈な争いが繰り広げられている。

ちなみにプロでトレーディングを行っている方は、世の中の人がズルいと言って諦めてしまうとこを同じ武器を持って対抗しようとする方が多いように思われる。(これは私の周りのトレーディングビジネスを行っている方々の印象です)

 

そのような実情に伴い、私のところにも度々アルゴリズムの実装やストラテジーの設計について依頼が来るのだが、最近は特にシステマティックにはトレーディングを行っていない方からのお声が掛かることが多く感じる。

その中で、仮にAというとこからこういったアルゴリズムを開発して欲しいという依頼があったので、それを開発することにした。出来たシステムは大変喜ばれて利用されるようになった。

それから、仮にBというとこから一緒にマーケットを見て欲しいという事で、ある銘柄の注文パターンを監視することになった際、「この注文の動きについてどう思うか」と尋ねられた。
その執行パターンはまさに私が作ったものだった。しかし、守秘契約を行っているので私の作ったものですとは言えず、「どうでしょうね?推定されている通り、アルゴリズムではあると思います」と答えたが、すかさずこの執行と同じようなアルゴリズムを作れるかと問われた。

正直、動きを見ればパラメータが想像出来る程だった。それはそうだ自分で作ったのだから。しかし同様のものを作ればアルゴリズムが競合するのは目に見えていた。

「同じようなものは作れますが、競合する可能性が高いのでオススメできません」と言うしかなかった。しかし、彼は「奴らがこれを行っている以上、総取りはさせられない。こちらも同じアルゴリズムを持っているということを見せつけなければならない」と彼は言った。

「同じアルゴリズムを作っても、すぐに対策を打ってきて、また機能しなくなると思います。そして開発費は高騰して行くばかりだと思います」と、思った事を言ったのだが、思いもよらない答えが返ってきた。彼は「それでも構わない。どちらが引くかまで続くのだよ。まさに軍拡競争なのだ」と。

そもそも私がアルゴリズムを他に提供してきたのは、少しでもトレーディングの負担を減らすことが出来たらみんな幸せになるんじゃないかと思ったのがキッカケだった。しかし、そこにあったのは戦争さながらの消耗戦を繰り広げる不毛な世界だった。

 

正直、開発者という視点から見るとAに作ったアルゴリズムで開発費を貰い、Bに同じアルゴリズムを提供しBからも開発費を貰い、さらに執行戦略のさらなる効率化という事でブラッシュアップしたアルゴリズムをさらなる開発費をBから得て提供し、Aにも対抗アルゴリズムとして、先ほど開発したアルゴリズムをさらなる開発費で提供するという錬金術のような事が実際に起こるのだが、こんな事になるべきではないと本当に心から思う。だが我々は一度手に入れた武器は捨てられないのである。

これはトレーディングの中の話に限らず、今の世界を表現しているのかもしれない。

そうなれば自分はさながらアルゴリズムの武器商人と言ったところであろうか。

 

 

 

 

…なんて評論チックに書いて見たんですが、実際に不毛なような戦いが行われている現場を目にしてるとなんだかなーって思ってしまいます(´・ω・`)。

 

せっかくなんでみんながハッピーになれるようなシステムを開発していけるような人になりたいなって、ずっと思ってます♪
最近、有能な経営者の方からに面白いアイデアがあるんだったらやってみなよ!というアドバイスを頂いたので社会的に役立つようなものを開発して行きたいなって気持ちがかなり前向きになっていますので、そっちも出来たら進めていきますね(・∀・)!

 

 


高頻度取引(HighFrequencyTrading)とは?(3)

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今回も、前回に引き続き、High Frequency Trading(以下:HFT 訳:高頻度取引)関連です。

 

HFTにおける統計的裁定について簡単に解説しましたが、今回は最良執行のための考えや微小時間で発生する超過収益の源泉について説明していきたいと思います。

 

非常に短い期間における超過収益の源泉になるファクターは、長い期間で利用されるものとは大きく異なります。例えば、株式市場において財務諸表等のファンダメンタルズ情報は企業の本源的価値を参照する上で非常に重要視されるものです。

しかし、HFTに用いられるような時間区間では、ファンダメンタルズ情報が大きく異ることが少ないので用いられることはあまりありません。(現在では、純粋な定量化されたデータを用いるだけではなく、ニュース等のテキストベースの情報をテキストマイニングという手法を用いて超過収益を得る方法も開発されているので、一概にファンダメンタルズ情報が無視されている訳ではありません)

 

では、どういった情報が利用されるのでしょうか?

注文の流入量約定の偏りなどの情報を利用されることがあります。
それをマーケットマイクロストラクチャー(Market Microstructure)と呼ばれます。

市場の微小構造に着目した学問で、人間の行動により生み出される効果などを研究しています。
これは極短期市場における市場効果だけではなく、日時のデータでも有効性がある効果も様々発見されています。

研究してみるといいかもしれませんね^^

 

今回はこの辺りまでにします。
次回はもうそろHFT関連は飽きたので違うのにするかもしれません^^;

 


高頻度取引(HighFrequencyTrading)とは?(2)

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前回に引き続き、High Frequency Trading(以下:HFT 訳:高頻度取引)関連です。

 

高頻度取引の概要やFPGAの利用について解説しましたが、今回は実際の取引手法やモデルの内容などを説明していきたいと思います。

超短期の超過収益を獲得する方法については、純粋なアービトラージを行う方法を紹介しましたが実際には速度だけに依存するので取引手法のバリエーションとしては乏しいものになります。

その次の階層に存在するHFTerとしては、Statistical Arbitrage(以下:Stat Arb 訳:統計的裁定)を行うプレイヤーでしょう。

これはどういうものかと言うと、ピュアなアーブに対して、統計的に導かれた非常に相関性の高い銘柄のペア(又は複数)を取引する手法で、よくスタットアーブと呼ばれます。

基本的には、純粋なアービトラージと同様な取引を行うのですが統計的な裏付けによって行うので、とにかく取引のサンプルを増やすために多銘柄で高頻度に行うのが特徴です。

あらかじめ設定したスプレッドより拡がった銘柄などを発見したセットに注文を出すスタイルです。しかし、スプレッドが拡がる瞬間は極一瞬であることが多く、その瞬間をHFTで狙いに行く手法となります。

 

まだ他にもHFTのプレイヤーの種類がいるのですが、それは次回以降に紹介していきたいと思います。

 


高頻度取引(HighFrequencyTrading)とは?(1)

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トレーディング関連の情報を集めていると、High Frequency Trading(以下:HFT 訳:高頻度取引)という言葉は一度は目にしたことはあると思います。

ではHFTとはどういったものなのでしょうか?

高頻度取引とは、短期間の売買を高速で繰り返す取引手法であり、米国を中心に近年急速な広がりをみせている。1つの取引に係るポジションの保有時間は、短い取引で数ミリ秒~数秒、長い取引でも1日未満と、夜間をまたぐポジションはほとんど保有しない。高頻度取引では、個々の取引の損益は非常に小さいものの、それを高頻度で多数繰り返すことで利益を生み出しうると考えられている。

と説明されています。

 

では、実際にはどのような取引を行っているのでしょうか。

最近では、HFTの分類も細分化しておりその中でも最速な部類がUltra High Frequency Trading(以下:UHFT 訳:超高頻度取引)と呼ばれる取引手法があります。

このレベルになると、一般の投資の考え方とは大きく異なります。

どういうことかと言うと、対象銘柄の値上がりや値下がりとは無縁の手法になります。
純粋な裁定取引を超高速で行うことにより、安定的な収益の獲得を目指します。

 

たとえば、米国の株式市場ではProprietary Trading System(以下:PTS 訳:私設取引システム)という代替市場が大きなシェアを占めています。

NYSEで上場している銘柄がPTSでも取引されているので、この同一銘柄が異なる市場で取引されたときに生まれる極僅かな値差を超高速で獲得しに行くような取引が行われております。

この取引は、純粋なアーブな為に注文執行における速度が非常に重要になります。

その為に最近では、OS上のプログラムを介さずハードウェア上の組み込みのプログラムを利用しボトルネックを非常に小さくした手法なども編み出されました。Field Programmable Gate Array(以下:FPGA)というロジックボードを利用したシステムです。

このレベルになるとトレーディングという感じがしませんね^^;

 

次回は超短期の超過収益を獲得するHFTの紹介をしようと思います。

 


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